うわさの…
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 
 



毎年毎年のこととして、
この夏は記録的な…と必ず何かしら言われるものだが、
こたびの夏も早くもその暑さが半端ではなくて。
厳密に言うと“夏が”というより梅雨も引っくるめての話じゃあるけれど、
随分と前倒しで記録的な猛暑日が襲い来たし、
雨だって、梅雨入りが発表された段階ではさっぱり降らなんだものが、
突然のように台風がらみのものやゲリラ豪雨が暴れ回って、
全国規模のあちこちで早くも落雷事故や水害が多発したそうで。
長々と梅雨の長雨や低温に停滞された東北・北陸の皆様には悪いと思いつつ、
あまり雨が降らなんだまま酷暑に蹂躙され続けの筆者の住まい周辺では、
そろそろ立秋だと言われても納得が行くくらい、
もはや夏は堪能し尽くした観さえあるほどなのだ。

というものの、

今時の年中行事のカレンダーの上で、
世間様が言うところの“夏休み”はこれからだそうで。
高校生や大学生は、七月に入ればすぐというノリで、
リゾート地でのアルバイトだバカンスだと言っちゃあ早々と遠出をし始めたり、
学校へ行かなくてよくなったのでと、
夜更かしや遅寝に拍車が掛かったりしてもいようが。(苦笑)
大学はともかく高校生の正式な長期休暇は、
一応は小学校と同じく七月中旬から下旬の辺りから始まるとされており。
で、ありながら
月頭に設けられる期末考査後の授業が免除されているガッコが多いのは、
試験休みとか採点休暇と銘打った期間中、
教師陣がテストやレポートの採点に取り掛かるのは勿論のこと、
出席日数が足らなんだ生徒に、補習を受けさせるためだったりもするそうで。

 懐かしいなぁ、と思いつつ、
 一番元気でエネルギー有り余ってる年頃なんだから、
 小学低学年は早めに休ませるとして、
 そっちはもっとどんどん
 通わせ続けていいんじゃね?とも思う今日このごろ。(おいおい)



それはそれは閑静な住宅街のシンボル的ランドマークでもある、
皆様にもお馴染みの丘の上の女学園も、
高等部のお嬢様がたが通う学校であるがため、
七月の頭からこちらはやや静かな佇まいを呈していたけれど。
今日は久し振りに、
朝早くから最寄りの駅や登校の小道が彼女らの姿で埋まっておいで。
ああそうか、夏休み前の終業式なんだと、
ご近所の皆様がポンと手を打ち、
ああ本格的な夏に入るのねぇなんて、しみじみ見守ってくださる中、
白基調で半袖のセーラー服姿の令嬢たちが、
さすがに声高に騒ぎはしないものの、
それでも 明日からすっかりとお休みだという興奮は隠し切れないか、
さわさわとお喋りするざわめきが途切れることはなかったり。

 「お休みだとはいえ、高校総体もありますものねぇ。」
 「そうそう。白百合のお姉様、今年も都代表として出られるのでしょう?」
 「ええ勿論っ。」
 「紅ばらのお姉様も、バレエの夏の公演があるそうですわよ?」
 「わたくし、母と毎年観に行っておりますvv」
 「私もです、楽しみですわよねvv」

ひなげしのお姉様も、ろぼっとコンテストというのへ出場なさるとか、
え? わたくし、確か客演とお聞きしましたよ?
そうそう、まだ高校生だから資格で引っ掛かってしまうとか…と。

 “……何でそこまで御存知なんだろか。”

草野さんチのご令嬢や三木さんチのお嬢様にまつわるお話は、
十分健全で華やかな話題だし、
オフィシャルにも公開されてる情報だから判るとして。
今時はそれほどでもないかも知れぬが、
こういうお嬢様学校なんてな土壌においては
まだまだ どちらかといやマニアックなジャンルのはずな、
某国営放送で毎年放送されてもいる、先進工学分野の夏の祭典。
学生たちの自家製ロボットを持ちより、
指定された動作の精度を競い合うという華々しい企画の全国大会へ、
ご近所の大学の工学部チームからの招聘を受け、
こそりと加わってたりする ひなげしさんこと平八なのを。
何でまた ここのお嬢様がたが御存知なんだろかと、
当のご本人がこそりと聞き付け、
う〜むむむと複雑そうなお顔になっておられたりする。

 「? どうかされましたか? 林田さん。」
 「あ、もしかしてお具合が?」
 「朝から蒸し暑いですものね。」

保健室へ参りましょうか?と
心から案じてのこと、
ありがたいお声をかけて下さるクラスメートの皆様なのへ、

 「あ、いいえいえ、大丈夫ですよ。」

通知表のことを思うと、ついつい憂鬱になってしまって。
あらそんな、林田さんに限って。
そうですわよ、頭脳明晰でいらっしゃるのに、と。
そっちはそっちで冷や汗ものな評価が飛び出したものの、
体調が悪いのかというお気遣いは、
何とかさりげなく払拭出来た模様なのへ安堵する。

 “スマホ経由で
  通学路のお喋りを拾ってましたなんて、
  バレたら 一大事ですものね。”

これも防犯対策の一環ということで、
最寄り駅と学園の正門との中間地点にこっそり設置した
防犯カメラからの情報を傍受出来るよう、
特別なソフトをスマホへインストールしているひなげしさんであり。
実は実は映像のほうだって、腕時計のジョイント部の裏、
鏡面仕立てに磨かれた部分に張られた、
特殊樹脂の液晶画面へ呼び出すことが可能だそうだというから。
……どこまで恐ろしいお嬢さんであるのやら。(う〜ん)
いつぞやに、こちら様の女生徒を勝手にモチーフにした、
モバイルで遊べるタイプの
恋愛シュミレーションゲームなんてのが出回った騒ぎがあったものだから。
それがらみで飛び出してくる勘違い野郎が出ぬようにとの用心も兼ね、
映像の保存だけに留めず
リアルタイムでも監視をと構えておいでのひなげしさんなのであり。
今は音声のほうだけを、
超小型の補聴器みたいなワイヤレス・イヤホンで聞いておいで。

 “まま、他でもないウチのガッコの登下校で何か騒ぎなんて
  まずは起きるはずもないのですがね。”

問題のゲームソフト会社も、それへ便乗したらしい悪ふざけ連中も、
それなりの所管が取り締まった上できついお灸を据えたそうだし、
そんな裏事情を知らないままなゲーマー小僧が
ちょろちょろしていたのも春休みまで。
そういった面子が多く利用する層の情報サイトの幾つかへ、
特典がもらえるってネタはデマだったらしいとの書き込みをさりげなく広めの、
警察関係の警邏も頻繁にしてもらいのした結果、
別な新しいゲームがヒットした世情もあってか、
そっち関わりの怪しい存在も見かけないようになっており。

 “これで夏休みに入ったら、あとは自然消滅するでしょから、
  ここまで神経質に案じることもなくなるでしょね。”

自分だって守られるべき対象だのに、
完全に保護者目線でのやれやれという感慨をこぼしつつ。
制服のスカートのポッケへ手を入れ、
スマホの電源を落としかけたところへと、

 【 …え?】
 【 だって、ほらあれ。】
 【 ど、どうなされたのかしら。】

音声だけを拾っている身へも異変を感じさせるよな、
どこか不穏なざわめきが届く。

 “? なんだろ、これ。”

ああ さすがに此処では映像までは見られないなと、
そこはまだ冷静さが居残っていた平八さん。
左右を見回してから、机の中から小さめのポーチを取り出すと、
こそりと立ち上がりお廊下へ向かう。
この女学園に限った話じゃあなく、
それが身だしなみ直しでもそうでなくとも、
お手洗いへは連れ立ってが当たり前な風潮の中、
こちらのひなげしさんや白百合さん、紅ばらさんは、
一人ででも ふいっとご不浄まで向かわれる“しっかり者”とされており。
たとえ“おや?”と見とがめたお人があっても、
ああと納得されての ついてくるお節介までは焼かれない。
それを踏まえた上で、微妙な速足でお手洗いへ向か…ったと見せかけて、
お廊下の一番端の階段を駆け降りると、
一階の端っこ、理科系特別授業用の実験室の隣の、準備室へと飛び込んだ。
無論のこと、危険物も収納されてる関係で普段から施錠されてはいるけれど、

 “そんなもん、とっくにキーレスエントリ仕様に改造しましたよ。”

こらこら威張るな。(苦笑)
飛び込んだそのまま窓辺へ寄ってゆき、ノートPCを開く。
カーテンを引き開けたいところだが、
そこまですると誰ぞに見とがめられないので我慢をし、
それは手際よく監視用ソフトを立ち上げれば、
液晶画面へ映し出されたは、
上からと少しほど下がった位置からの2種ある監視映像で。
音声の方はずっと聞きっぱなしでいたのだが、
お嬢様たちったら誰へ遠慮をしているものか、声が小さいから聞き取りにくい。
それが、

 【 …でも、バレエの練習でお顔なんて。】
 【 ええ、それはないでしょうにね。】

そんな文言が拾えたものだから、
おややぁと ひなげしさんのきれいに整えられた眉が寄り。
十字キーにてカメラの角度を少しずつ動かして、
一体何が拾えてのこの騒然とした空気なのかを探っておれば、


  「…………はいぃ?」




     ◇◇◇



一方のこちらは、
ひなげしさんが遠隔地から監視用カメラ経由という格好で
見やっておいでの正に現場側の通学路。

 “朝っぱらから今日も暑いなぁ。”

でもまあ、今日の終業式でやっとの夏休みなんだし、
このっくらいは我慢我慢…と。
内心のうんざりなんて欠片も覗かせない、
そりゃあ涼しげなお顔で、女学園までのゆるやかな坂道を昇っておいでの

 「おはようございます、草野様。」
 「白百合のお姉様、おはようございますっ。」

ご紹介前にあちこちからご挨拶が飛び交ってしまいましたが。(苦笑)
お返事に忙しい草野さんチのご令嬢、
鬼百合、もとえ白百合様こと七郎次さんが、
今日は引っ詰めに結った金の髪をつややかに輝かせ、
麗しい笑顔と颯爽とした足取りで登校しておいで。
高校生の例に漏れずで、
忌々しい期末考査が済んでからこっち、
仲良しのお友達と連れ立ってあちこちへ出向いては
前倒しの夏休みよろしく楽しんでいたものの。
そこはお育ちのよさが出るものか、
学園から成文化された禁止令が出ていた訳ではないながら、
それでも…泊まりがけとなるお出掛けだの旅行だのどころか、
日没後の外出も、さすがに大手を振っては出来なかった日々でもあったようで。

 “というか、久蔵殿もヘイさんも、お忙しい身だったしねぇ。”

繰り返すようで何だが、
七郎次の親友でもある紅ばらさんとひなげしさんは、
それぞれに奇特な才をお持ちなため、
夏休みともなりゃあ、それぞれの関わる分野の関係各位から、
それっとばかりにその身を長期拘束されて、
あれこれと引き回されてお忙しい身となってしまわれる。
試験休みも例外とは言えずで、
久蔵はレッスンに、平八は大学の工学部からの召喚に、
1週間のうちの4日ほども拘束されておいでだったほど。
かく言う七郎次もまた、
高校総体への代表合宿がありの、
父上の知己なぞから納涼の船遊びやお茶会へ招かれのと、
暇とは言い難い日々を送ってもいたので、

 “むしろこういう“学校へ行かねばなりません”とする日の方が
  大手を振って侭が利くような気がするなぁ。”

八月に入ったらどんどん遊ばなくっちゃねと、
勿論のこと、勘兵衛様とも何とか距離を縮めて…と、
ヲトメチックに頬を赤らめつつも、
今日のところはうんうんと綺麗な拳をぐうに握ったところで。

  ふと、
  周囲の皆様がさわさわっとざわめいたことに気がついた。

あらやだ はしたないと、自分の手を見下ろしたものの、
これっくらいで
“あらやだ はしたない”と誹謗されるほどお堅いガッコでもないはずで。
自分への注目からじゃあなさそだなと、
それでも手は引っ込めての辺りを見回せば、
皆さんの視線や注意は、やや後方の別なお人へとそそがれている。
やはりセーラー服をまとった女学生で、
あら…♪と七郎次のお顔がほころんだのは、
それが単なる“学内有名人”だからではなく、自分の親友でもあったからだが、

 「久蔵殿?」

裾へかけてエアリーなカールがかかるタイプなくせっ毛が、
明るい金色という髪へそれは軽やかな印象を加えての麗しい。
白皙の頬に賢そうな額、切れ長の双眸という凛々しい風貌を裏切って、
実はそこだけ愛らしくも柔らかな口許だったりするという。
七郎次にすりゃあ、
クールビューティというより、そりゃあキュートで可愛らしい美人さんでしかない、
自慢の次男坊、もとえ、お友達の三木さんチの久蔵お嬢様が、
やはり颯爽とした足取りで、学園へ向かってやって来るところ。
そこまでなら何の問題もなかったのだが、

 「…シチ。」
 「………。」

向こうからも気づいたらしく、
微かなそれだが確かに表情が柔らかくほころんだ彼女が、
やや小走りになって駆け寄って来る。
それを立ち止まって待っていた…ように見える七郎次だったが、
実際は、呆然として立ち尽くしていたまでのこと。

  だって。

ほんの一昨日、Qタウンのコスメショップで
陽やけ止め処方のBBクリームを一緒に買った折は
そんなお顔じゃあなかったのにね。
いつもと同じで、そりゃあ麗しくも凛々しい、
彼女にはあんまり褒め言葉にはならないらしかったが、
お人形さんのようにすべらかな肌も愛らしい、
それはそれは美美しいお嬢様であらせられたというのにね。

 「しち?」
 「………久蔵殿、私にだけは包み隠さずはっきり仰っしゃい。」

あのあの、でも白百合様、此処って天下の往来ですがと。
周辺にたまたま居合わせた同じ女学園に通われるお嬢様たちが、
中には内心でそんなツッコミを入れるお人が居つつも、固唾を呑んで見守る中、
真剣真摯なお顔になった白百合様が、
親友であらせられるお友達、紅ばら様へと問うたのは、


 「その、左の頬っぺたに貼った
  ワル目立ちしまくりの大きな絆創膏は
  一体 何事なのでしょうか?」




え?え?え?
何でそれだけのことで、こうまでの大騒ぎになっているのかって?
それは、
ごくごく一般人として下々の生活を送る私にも とんと判りません。(こらー)







     ◇◇◇



久々に手ごわい対峙となったのは否めない。
ついつい、習慣からの所作で、
両手を羽ばたきのように振って
常の得物をその手へすべり出させかかったものの。

 『……。(否)』

それは出来ぬと吐息を洩らす。
装備していなかった訳じゃない、
さっきも行く手を阻んだニシキギを打ち払うのにぶん回した得物だが、
あれは後で叱られるなぁというの、するすると思い出したのと、
それを使う相手ではないという判断も間に合ったから。
じりじりとした睨み合いに集中し、相手の呼吸をじっと窺う。
そのままきびすを返して逃げを打つことも予想はされたが、
そうなればなったで追えばいいのだし、
もう結構な距離を駆け回った後なので、
さすがにそれはなかろうとも踏んでおり。
踏み締めていた芝草の上、
じりじりっとつま先をすべらせて間合いを詰めれば、
相手が警戒から背中を丸めかかったのがありありしたが、

 『…いい加減に観念しな。』

背後に隠していた、彼女には珍しい飛び道具がものを言う。
前へと繰り出しながらトリガーを引けば、
ややゆるめのシャワー放水が飛び出して。
向かい合う格好でいた長毛種ネコ・メインクーンのくうちゃんへ、
しゃわわわわーーーーっと適温のぬるま湯が降りかかり、






 「つまり、くうちゃんとのシャンプー戦争でつけられた傷だと。」
 「………。(頷、頷)」

あの広いお屋敷の庭じゅうを使っての鬼ごっこをした挙句、
取っ捕まえるのにさんざん手古摺らされた末、

 「掴みかかったのへ驚いて、」
 「もがいた拍子に ばりっと…ですか。」

猫の手という手振りも入れてのご本人からの説明へ、
もうもう人騒がせなことをと苦笑が洩れる。
呆れ半分、でもまあ、騒いだのは回りの勝手ですしと、
そこも判っていればこその…安堵半分というものか。
やれやれという、
苦笑やら溜息やらが入り混じったような ややこしいお顔になって、
平八がポーチから五郎兵衛おすすめの傷薬を取り出し、
片やの七郎次は七郎次で、
それはそれは慎重に、スツールに座らせた紅ばらさんのお顔から、
そおと絆創膏をはがして差し上げているところ。
まだここの主人は出勤して来ていないけれど、
来たら来たで、今朝の顛末を全部、
久蔵本人の目の前で告げ口してやろうと画策中の二人でもあり。

 「やった使えると思って貼った、
  久蔵殿の心境が判らなくはないですが。」

 「顔に絆創膏はちょっとねぇ。」

お嬢様がたが驚きおののいたのとは完全に方向も質も違い、
恐らくはこっちこそが正当な言い分を並べるお二人であり。


 「それでなくたって久蔵殿ってば肌が弱いのに。」

 「そうそう、
  榊せんせえだって“顔に貼っただと?”ってびっくりなさいますよ?」

仲良しだし事情も通じているお友達から二人掛かりで説得されて、
今朝の通学路を騒がした張本人様、
七郎次に大人しく医務室まで収監されたその上で、
合流した平八も加わり、お手当てを受けておいでであったりし。

 「あ、結構きれいに剥がれますよ。」
 「さすがは兵庫さんお薦めの絆創膏ではあったって事でしょうね。」

消毒用ガーゼつきの、よくあるタイプの救急絆創膏、
アニメや漫画の男の子が鼻の頭なんぞに貼ってたりするけれど、
最近のは改良されてて かぶれにくいとはいうけれど。
それでも…年頃の女の子が頬にぺたりはあるまいて。
しかも、全学園からという広規模で注目浴びてる存在だってのに、
そんな無神経をやらかすなんて。

 「無頓着にも程がある。」
 「まあまあ、ヘイさん。」

どんな一大事の出來かって、泡食ってしまったじゃないですかと、
それへやすやすと振り回された
他でもない自分が恥ずかしいらしいひなげしさんを宥めつつ、
絆創膏を取り退けた久蔵さんのお顔を眺めていた七郎次だったが。

 「傷って…どこですか?」
 「どら。…あれ? ないですよ。」

 猫に引っ掻かれたっていうなら、小さくたって結構残るはずですがね。
 あ、それほど この絆創膏ってよく利くのかな?
 ……っ。(頷、頷っ)

蓋を開ければ何とも可愛らしいお話で、
いやいやその前からして、何でそうまで騒がれたものかというレベル、
そりゃあもうもう可愛らしいネタの騒動で。
何とも他愛のない、だがだが、いかにもこちらの女学園らしい騒ぎでもって、
華やかな一学期の幕は下ろされたのでありました。





     〜Fine〜  13.07.19.


  *何だこりゃなお話ですいません。
   肝心のネタを焦らして焦らしてなかなかご披露しないってのは
   怪奇ものによくある手法ですが、
   いや、そんなの狙ってないし。
   ……回りくどさに磨きをかけてどうするか。
   もっとすぱすぱと要領よく書き下ろせるようになりたいです。

  *で。この絆創膏騒動の主役、
   実はぎりぎりまで
   シチちゃんと久さんと どっちにしよか迷ってました。
   怪我も含めて、七郎次さんがこんなおドジはするまいけれど、
   それが勘兵衛様がやらかしたことだったら?
   何かの拍子、風に煽られた木の枝とかで
   小さく擦り傷作ってしまったシチさんへ、
   おお可哀想に、傷が残ってはならぬからとか何とか言って、
   何と絆創膏を貼った勘兵衛様だったら…。
   シチちゃんはむしろ舞い上がってしまって、
   自分からはがそうとしないかもですが、
   大雑把にもほどがありますよと、
   征樹さんからこっぴどく叱られたりしてね。
   女の子が顔に絆創膏だなんて、
   顔に落書きされるほど恥ずかしいことですよとか、
   それでなくともデリケートな肌だってのに
   接着溶剤でかぶれたらどうすんですかとか、
   さんざんに叱られて不安を煽られて、
   様子見をかねてすぐにも逢いに行けば面白い…とか思ったんですよね。
   あと、医者の兵庫さんが顔に貼らせるかなぁというのもネックでしたので、
   ほぼシチちゃんに決まりかけてたのですが…。
   (そして久蔵殿がシマダ許さぬと復讐に燃えるとか。)
   (あ、こっちの方がやっぱ面白かったかなぁ?)こらこら

   ただね、シチさんの場合、
   お母様とかお手伝いさんとか、周囲の人が制すれば、
   已なしと登校前には剥がすんじゃなかろかと思いましてね。
   父上の絵のモデルでもある人だし、そこを突かれれば、ねぇ?
   その点、久蔵さんは、
   家令の執事長さんに言われても剥がさないかもしれない。
   つか、あのお家はそういうの面白がりそうな気もする。
   笑うって意味じゃなくて、
   何かの願かけかもしれないとか、勝手に慮ってくれて、
   見て見ぬ振りしかねないなぁと。(おいおい)
   そこで、こう決まった訳で、
   こんな単純なネタでも結構考えているんですよ、ええ。(自画自賛っ)

ご感想はこちらへvv めーるふぉーむvv

メルフォへのレスもこちらにvv


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